水などの液体を加熱する実験のときに沸騰石を入れるのは,急激に沸騰(突沸)して液体や蒸気が周囲に飛び散るのを防ぐためです。
■沸騰とは
「沸騰」とは,液体を加熱したときに液体の内部からも蒸気(気泡)が発生するようになる現象のことで,このときの温度を「沸点」といいます。
温度が沸点に達しても液体の中にいきなり気泡はできにくく,何らかのきっかけが必要です。
たとえば,なべでお湯をわかすような場合には,なべの内側のごくわずかなデコボコや傷などについていた目に見えないほどの小さな気泡をもとに,この気泡の中に蒸気が増えていくような感じで,沸騰という現象は始まります。
■液体が急激に沸騰すること
フラスコなどの内側はなめらかですから,「きっかけ」がないと液体は気体になれず,温度は沸点に達しているのに沸騰しないことがあります。
そのままの状態で加熱を続けると,ある時点で液体は突然沸騰します。これを「突沸(とっぷつ)」といいます。
一度に多くの液体が気体に変わるため大きな気泡が発生し,液体や蒸気が周囲に飛び散るおそれがあるので大変危険です。
■沸騰石を入れておく目的
突沸を防ぐため,液体を沸騰させるときには「沸騰石」をあらかじめ入れておきます。
沸騰石として用いられるのは,細かい穴がたくさん開いた石や素焼きのかけらなどです。
沸騰石を入れておくことで沸点に達したときに液体が気体に変わる「きっかけ」を与えることができるため,小さな気泡から始まる,おだやかな沸騰をさせることができるのです。