枕詞とは,おもに和歌に使われる技法のひとつで,ある特定の言葉を導き出し,和歌の調子を整える働きをするものです。
(例)ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ
大意:光がのどかに照る春の日だというのに,どうして桜の花は落ち着きなく散っていこうとしているのだろうか。
上の例を見てわかるように,「ひさかたの」という語はとくに訳されることもなく,この和歌において直接意味を持っているわけではありません。このような語を「枕詞」といいます。
おもな枕詞には,以下のようなものがあります。覚えておきましょう。
※「枕詞」(導かれる語)の順で紹介しています。
「あしびきの」(山・峰) 「あをによし」(奈良)
「くさまくら」(旅) 「しろたへの」(衣・袖[そで])
「たらちねの」(母) 「ちはやぶる」(神)
「ひさかたの」(光・天) 「ぬばたまの」(夜・黒)