「領土」をめぐって,イタリアとオーストリアが対立していたからです。
第一次世界大戦(1914~18年)が始まる以前から,イタリアとオーストリアは「未回収のイタリア」という領土問題をかかえて対立していました。
19世紀の前半,イタリア半島にはいくつかの国があり,北部はオーストリアが支配していました。1861年にイタリア王国が成立してイタリア半島を統一したのですが,北部の一部はオーストリアが支配したままになっていました。イタリアはこの地域を「未回収のイタリア」と呼んで,オーストリアに返還を求め続けました。これが「未回収のイタリア」と呼ばれる領土問題です。
一方で,三国同盟を結んでいたため,イタリアは第一次世界大戦初期には「中立」の立場を守っていました。
けれども大戦が始まると,イタリア国内で参戦論が高まりました。
さらに,連合国側であるイギリス・フランスが「連合国側として参戦すれば,『未回収のイタリア』を割譲する」と約束したのです。
そのため,1915年,イタリアは三国同盟を破棄して「連合国側として参戦」しました。