すべて過去の助動詞「けり」ですが,次に続く語によって活用形が異なり,「ける」「けれ」と形を変えています。
古典文法については高校で詳しく学習するので,詳しい説明は省略しますが,ここで使われている「けり」「ける」「けれ」は,すべて過去の意味を表す助動詞「けり」の活用した形です。
古典文法でも現代語文法と同じように活用形があり,下に続く語によって形を変えます。「けり」は「ける」「けれ」というように活用します。
一番はじめに出てくる「拝まざりければ」の「けれ」は,下にある「ば」に続く形として「けれ」と活用しています。
ここで,ひとつ気を付けたいのは,係り結びによって形が変わっているものです。
「尊くこそおはしけれ」「とぞ言ひける」の2つは,いずれも係り結びによる活用形の変化です。文中に「こそ」があるときは文末は已然形,「ぞ」があるときは文末は連体形になるという決まりがあります。よって,この2つは係り結びによって,形が変わっているということを押さえておくとよいでしょう。
なお,「已然形(いぜんけい)」とは,現代語文法の「仮定形」にあたります。ここでは,活用形の名前が違うということを理解してください。